

不育症とは
妊娠はしても妊娠22週未満の流産・死産・早期新生児死亡(生後1週間以内の死亡)
などを繰り返すことにより、子どもを持てないことを不育症といいます。
自然流産の頻度は、全妊娠の約10〜20%に起こり、それ自体は珍しいことではありません。
そのうちの60〜80%以上は胎児(受精卵)に染色体異常があるといわれ、偶発的なものです。
一般的に2回以上連続した流産や死産、早期新生児死亡などがあれば、不育症と診断され、
検査を行うことがあります。
不育症のリスク因子と治療
不育症のリスク因子はいくつかわかっていますが、約半数のカップルは検査をしてもリスク因子が
はっきりとわかりません。
多くの場合、偶発的な流産の繰り返しであり、特別な治療を必要としないこともあります。
治療を必要としなかった方も含め、不育症外来を受診した方の、約70%以上が最終的には出産に
至るという報告があります。

*リスク別頻度は「不育症の原因解明、予防治療に関する研究」
(AMED不育症研究班)を参考に掲載しています。
子宮形態異常 |
中隔子宮や双角子宮などの、先天的な子宮形態異常がある場合には、流・早産を繰り返すことがあります。
子宮形態異常では、子宮内に血流の乏しい場所があり、そこに受精卵が着床すると流産するのではないかと考えられています。
検査:経膣超音波検査・子宮卵管造影検査など
治療:子宮形態異常の種類や程度によって子宮形成術が行われます。 |
抗リン脂質抗体症候群 |
抗リン脂質抗体症候群では、血液が固まりやすくなることから、胎盤に血栓を作り、血流を悪くします。その結果、胎児に酸素や栄養がいかなくなり、流産や死産が起こると言われています。
また、抗リン脂質抗体が胎盤のまわりに炎症を引きおこし、その結果流産となっているのではないかとも言われています。
検査:抗リン脂質抗体検査(血液検査)
治療:低用量アスピリン療法・低用量アスピリン+ヘパリン療法 |
血液凝固異常 |
プロテインS欠乏症、第]II因子欠乏症などが流産の発症に関係していることがあります。
これらの異常では血液が固まりやすくなることから、胎盤に血栓を作り、血流を悪くします。その結果、胎児に酸素や栄養が行かなくなり、流産や死産を起こしたり、胎児の発育に影響を与えたりします。
検査:血液凝固系検査(血液検査)
治療:低用量アスピリン療法やヘパリン療法などの抗凝固療法 |
内分泌異常 |
甲状腺の機能異常や糖尿病による血糖の高値などが流産に関連していると報告されています。
内科医と連携し、治療により良好な状態を維持することが必要です。
検査:血液検査
治療:それぞれの疾患に対する内科的治療 |