| 性交タイミング指導 |
卵子が受精できるのは排卵後約24時間、精子に受精能力があるのは射精後約3日間です。この期間に精子と卵子が出会えるよう排卵日を知り、性交のタイミングを合わせていきます。排卵日は、基礎体温表、超音波検査や頸管粘液検査、尿中の黄体化ホルモン(LH)検査などを行うことで予測できます。薬物療法などによる治療と並行して、半年から1年間ぐらい行います。 |
| 薬物療法 |
○排卵障害
抗エストロゲン作用のあるクロミフェン剤を、月経開始より3〜5日目から5日間内服すると脳の視床下部に働きかけ、約2週間後に排卵が起きます。これを「クロミフェン療法」といい、何周期も連続使用すると頸管粘液の分泌量低下などかえってデメリットが生じることもあります。この療法で妊娠に至らない、排卵に至らない場合、2種類の注射により卵巣を直接刺激する「ゴナドトロピン療法(hMG-hCG療法)」があります。高プロラクチン血症による排卵障害の場合は、プロラクチンの分泌を持続的に抑える薬を内服することで排卵がみられるようになります。
○頸管粘液分泌不全
頸管粘液分泌不全で卵胞ホルモンの分泌に問題のある場合は卵胞ホルモン剤を投与します。
○黄体機能不全
排卵誘発剤により卵胞の発育を促すとともに黄体ホルモン剤により分泌不足を補います。
○子宮内膜症や子宮筋腫
軽度の場合は卵胞ホルモンの分泌を抑制する薬を4〜6か月投与して月経を止め、病巣を小さくする治療をすることがあります。
○造精機能障害
原因不明のことも多いため、まずビタミン剤や漢方薬などを服用します。効果がみられない場合は男性ホルモン(テストステロン)などのホルモン剤が投与されます。 |
| 手術療法 |
○子宮筋腫
不妊の原因と考えられる場合は、筋腫そのもだけを手術で取り除きます。大きさや場所によっては、子宮鏡や腹腔鏡の手術ですみますが、開腹手術になる場合もあります。
○子宮奇形
奇形の種類によっては手術の必要がないものや不可能なものもあります。中隔子宮の場合は、子宮鏡下での子宮形成術が可能です。
○卵管障害
顕微鏡を用いた手術(マイクロサージェリー)や腹腔鏡を使った癒着の剥離、卵管鏡を使った卵管形成術などが行われます。
○子宮内膜症
進行した子宮内膜症も手術の対象となります。腹腔鏡下で行われることも多いですが、重度であれば開腹手術となります。
○精索静脈瘤
いくつかの外科療法があり手術を行うと精液所見が改善する場合があります。
○精路通過障害
通過障害の部位や病態に応じて顕微鏡下手術や内視鏡手術を行い閉塞部分を切除して再びつなぎ合わせると自然妊娠が期待できます。また、精巣あるいは精巣上体から精子採取術を行うこともあります。
○性機能障害
病態に応じた治療が必要です。勃起障害(ED)に対しては、薬物療法が中心となります。 |
| 人工授精 |
精子を人工的に子宮腔内に注入する方法です。自然の排卵や排卵誘発剤を使用しての排卵に合わせ、洗浄・濃縮させた精子を注入します。麻酔の必要もなく、注入後15〜30分ほど安静にして終了です。対象となるのは、精液量・濃度・運動率などが不良の場合、逆行性射精、勃起障害や射精障害、頸管粘液分泌不全、中程度の抗精子抗体陽性、性器の形に問題がある場合、原因不明の機能性不妊などです。1回の人工授精で妊娠する率は10%前後で、それほど高くはありません。この方法で妊娠する人は5〜6回くらいまでに成功しており通常は6〜7回くらいを上限として考えます。 |